インタビュー

「あなたは親切だね」――入社1年目のふとした気づきが生んだ、心に残る“ありがとう”

堀口さん SOMPOケア そんぽの家S ときわ台南 ケアスタッフ(2024年入社)

プロフィール
福祉系大学在学中にコロナ禍の影響で中退。その後、初任者研修を取得してデイサービスで約2年間勤務。2024年にSOMPOケアに転職し、現在は実務者研修を受講中。介護福祉士の資格取得を目指している。

家族の介護を見て感じた「知識の大切さ」が原点

──介護の仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。

私が高校2年生のとき、祖父の介護が必要になりました。母が看護師だったのですが、母が祖父に対応している姿やお世話をしている様子を間近で見ていて、「こういう知識がある人が家族にひとりでもいれば自分の将来にとても役立つのではないか」と思ったのがきっかけです。

──実際にデイサービスで介護の仕事を始めてみて、どうでしたか。

とても難しかったですね。イメージしていたものとは全然違いました。何でもやってあげるのが介護だと思っていましたが、そうではなかったんです。「その人が何を必要としているのか」「この人にはどういう対応が必要か」など、本当に人それぞれ。まずは相手がどういう人なのかを知ることがとても大事で、それが楽しくもあり、介護の難しいところでもあると感じました。

──デイサービスからSOMPOケアに転職を決めたきっかけを教えてください。

まだ介護に対する知識が少なく、現場での経験も足りないため、もっと自分で知識をつけたいと思っていました。デイサービスでは排泄介助などの技術が必要な場面が少なく、また認知症に対する知識も含めて、介護全般の知識がまだまだ足りていないと感じていたんです。いずれは介護福祉士の資格を取りたいと思っているので、そういった体制がしっかり整っているところに転職したいと考えたんですよね。

いろいろな施設を紹介していただく中で、SOMPOケアの研修制度がとてもしっかりしていることを知りました。まだまだ学び足りない部分がたくさんある自分にとってとても良い環境だと思い、転職を決めました。

──デイサービスから施設での仕事に変わって、戸惑いはありませんでしたか。

正直、すべてが違いすぎて慣れるのにとても時間がかかりました。勤務形態も全く違いますし、一人ひとりの部屋に伺って介助するという経験もなかったですからね。

ただ、事務所にはいつも先輩職員がいて、何かあればすぐに相談できる体制が整っています。最初はOJTで付き添ってくれる先輩方がいたので、自分なりのペースでゆっくり慣れることができました。

ある程度の流れが分かってきたのは4か月目くらいでしょうか。時間通りに進まないときは一人でプチパニックになって「どうしましょう」とすぐに先輩に相談していましたが、4か月目ぐらいになるとご入居者さまのことも分かるようになってきて。「無理に時間内に終わらせることにこだわらなくても良い」と思えるようになりました。

何気ない気付きから生まれた心に残る「ありがとう」の瞬間

──ご入居者さまから「ありがとう」と言われて、特に印象に残っていることを教えてください。

特に定期的に介助に入っていた方ではなかったのですが、とある女性のご入居者さまがいつもの決まった席ではなく、全く違う席で食事をされていることがあったんです。ふと気になって「今日は珍しいですね」とお声がけしたところ、「足が痛いから、お部屋から近いところの席で食べている」とおっしゃって。心配になって「もし不安でしたら、食事のあと一緒にお部屋まで戻りましょうか」とお声がけしたら、「ありがとう」と言ってくださいました。

お話を聞いたところ、数日前から足が痛かったそうなんです。その方は普段から何かあっても誰かに頼らず申し訳ないと遠慮してしまう方だったんですよね。だから私が「気が付けなくてごめんなさい。何かあったらすぐに言ってくださいね」とお伝えしたところ、とても驚かれて。そして、とても良い笑顔で「あなたは親切だね」と言ってくださいました。心からそう思って言ってくださっているのが表情からとても伝わってきて、強く印象に残っています。

──他にも印象に残っているエピソードはありますか?

同じ方のエピソードですが、その方の息子さんが「お母さんの好きなクチナシの花を持ってきたよ」と言ってお部屋に飾ってくださいました。「とてもきれいですね」とご入居者さまとお話していたのですが、お身体の調子が影響していて、「香りが全く分からない」ととても悲しそうな顔をされていたんです。

たまたま私がそのお花の香水を持っていたので、お花と全く同じではないけど、香水の方が香りが分かるかもしれないと思い、少し香水を振ったんです。すると、うっすらと香りを感じられたようで「とても優しい香りですね」と喜んでくださり、「わざわざありがとう」と言ってくださいました。普段から優しい方なのですが、優しいお顔で嬉しそうに言ってくださったことがとても嬉しかったです。

──素敵なエピソードですね。ほかにもご入居者さまとのやりとりの中で印象に残っていることはありますか。

ユニフォームが暗めの色なので、ご入居者さまから「もう少し可愛い色だといいのに」とか「暗いから、みんな一緒に見える」と言われることがたびたびあるんです。色鮮やかなものを好む方が多いので、何かできることはないかと考えました。

そこで柄付きやキャラクターものの靴下を履くことにしたんです。ご入居者さまのお部屋に入ると、皆さん足元を見る機会も多いので、「今日も可愛いですね」「どこで買ったの?」などと声をかけてくださるようになりました。会話のきっかけにもなりますし、目で見て少しでも楽しんでもらえているのではないかと思っています。やってみて良かったですね。

──そういう会話が、ご入居者さまとのコミュニケーションが深まるきっかけになりそうですね。

入社当初はお互いに慣れるまで話題もなく沈黙が続く感じでしたが、靴下について声をかけてくださるようになってからは「このキャラクター知っていますか」「今日は何の靴下だと思いますか」とかいろいろな話ができるようになりました。いつもそういう靴下を履いている人として覚えてもらえるようにもなりましたしね。

なかには「こういう可愛い靴下を履いてきてくれる人もいるから、お部屋の床はいつもきれいにしているのよ」と言ってくださった方もいらっしゃってうれしいですね。ご入居者さまとの距離がとても縮まったと感じています。

──皆さんからいただく「ありがとう」という言葉は、堀口さんにとってどんな力になっていますか。

自分が何気なくやっていることをそんなに喜んでくれると、うれしい気持ちになるのはもちろん、「もっと助けになりたい、できることがあればやってあげたい」と思えます。

介護の仕事に限らないと思いますが、仕事をしていると良いことばかりではないと思います。特に介護の仕事では、こちらが傷ついてしまうような言葉をいただくこともありますし、対応に迷うときもあって、メンタル面でダメージを受けてしまうことも少なくありません。

でも、そんな中でいただいた「ありがとう」という言葉や自分がうれしかった体験のおかげで、頑張ろうという気持ちになれるんですよね。「ありがとう」と言ってもらえることは、当たり前ではないと思っています。しっかりと心に留めて、つらいときはそれを思い出してこれからも頑張っていきたいです。

イメージだけで諦めずに、ぜひチャレンジしてほしい介護の世界

──最後に、介護の仕事に挑戦したい、介護の仕事をもっと続けたいと思っている人に、メッセージをお願いします。

介護の仕事は、世間的にはあまり良いイメージを持たれることが少ないのが現状です。特に、同世代の人からは「なんでそんな仕事を選んだの?」とか「自分だったら絶対できない」と言われてしまうこともあります。そういうイメージがあまりにも大きすぎて、介護の仕事をやってみたいけれど一歩踏み出せずにいるという人もたくさんいるのではないでしょうか。

でも、先ほどお話ししたような出来事がたくさんあって、とてもやりがいもありますし、この仕事をやっていて良かったと思うことも本当にたくさんあります。自分でも人の役に立てているんだという実感や、自信にもつながる仕事だと思います。少しでも興味があるなら、イメージだけで断念するのではなく、ぜひチャレンジしてみてほしいですね。