SOMPOケアが培ってきたノウハウを提供し、持続可能な介護業界を築きたい。
他社とともに業界全体の発展を目指す新事業をスタート
課題をいっしょに解決していくことをミッションに
現在全国の有料の高齢者ホームは1万5000施設、居宅介護事業所は4万事業所あります。介護業界は比較的参入が容易であるため、年々新規の事業所は増えている一方で、人材の確保や収益に占める人件費などの原価の割合が高いなど経営に関するさまざまな課題が山積しており、ノウハウの確立が難しい企業、経営体力に余力が少ない中小事業者の皆様の中には撤退を余儀なくされることも少なくありません。それらの課題に対してSOMPOケアのあらゆるノウハウを提供し、介護業界全体が抱える問題の解決に当たることをミッションに2019年にソリューション事業部を発足しました。
具体的な業務としては、2020年4月から「ビジネスプロセスサポート(BPS)」と銘打ってサービスの展開をスタートしました。これまでSOMPOケアが現場で培ってきた経験や知見を生かしたコンサルティングや共同購買などのサービス提供で、同じ介護業界の他社をサポートしていきたいということから生まれました。
ニーズに応える現場を知る強み
これまで介護業界にコンサルティングが入っていなかったわけではありません。しかし、帳票類の数字だけをもとに、運営や収益に関して正しい、正しくないという評価をされることだけをすることがあり、多くの介護事業者は抵抗感を持っていました。私たちが実際にそうした事業所で話を聞くと、もっと介護業務内容にあったコンサルティングが受けたいという声が多く寄せられるのです。
こうしたニーズに対して、私たちには業界大手として実際に介護事業に携わってきた実績とノウハウがある上に、なにより「現場従事・管理・統括経験者による視点」や「お客様の課題が自社運営事業所との比較検証できる」人的・環境的にも現場を知る強みがあります。そうした強みを、SOMPOケアだけで独占するのではなく、広く他社へも提供することで、業界全体を良い方向へと引き上げようというのがBPSの目的です。

課題に対処して業界の体質改善の手ごたえを得る
業界大手のスケールメリットを生かす
BPSのメインのサービスとして、「運営コンサルティングサービス」「運営サポートサービス」の2つがあります。この中で具体的に分かりやすく、もっとも需要が多かったのは食事や修繕、消耗品などの購買に関してでした。ここはランニングコストのなかでコストの削減につながりやすいところなので、最初に相談したい点なのでしょう。
しかしそうした相談をするすべての事業所が、食事や購買の内容とコストのバランスを考えているかというと、必ずしもそうではありません。料理の味にまるで関心がないというところや、これまでやってきたことを何ら検証せずに繰り返しているという例も多々あります。
こうした課題に対し、例えば完全料理済み食材を開発・提供している子会社のSOMPOケアフーズと連携したり、消耗品や介護用品などの一括仕入れによるコスト削減の提案を行うなど、SOMPOケアが実際に現場で日々行っている運営のシステムを提供することで解決を図っています。業界大手というスケールメリットを生かせるコンサルティングは、ほかのコンサルタントにはない、私たちだけの大きな特徴ではないでしょうか。

予測型データを使ったケアに関心が集まる
また業界全体の悩みの種である人材に関しても、相談を受けた事業所の業務内容を見てみると、いろいろ問題点が見つかります。多くの事業所が、離職率が高い、人手が足りない、だから派遣社員を入れるので人件費が高くなっているといい、そのことを前提に運営をしています。しかしその前に、適正な人員を適正なところに配置しているかというと、必ずしもそうではない。ムダな人手やよけいな仕事をなくせば、人材は足りているというケースがあります。
そもそも介護業界は、これまでご利用者さまが起こしたアクションに一所懸命対処することに終始していました。しかしそのご利用者さまの生活スタイルや身体の状況などのデータを集めて分析し、事前にご利用者さまの行動を把握すれば、例えば転倒を防いだり認知症の方の行動に対応することもでき、職員の労務の軽減にもつながります。SOMPOケアでは各施設から集めたデータを可視化し、それを用いる予測型データを使ったケアにも取り組んでおり、そのことを説明すると興味を示してくれる他社の事業所も増えてきています。少しずつ業界の体質改善につながっているかなと手ごたえを感じています。

未来が見えるコンサルティングでみんなが発展していきたい
BPSを将来の収益の柱に育てたい
どの事業所も課題が膨大に存在していますが、それをすべて一辺に解消するのは困難です。なので、私たちは、まずどの課題に優先的に取り組むべきかを提案し、その解決を図ります。そしてそれが改善されてくると、今度は別の課題に取り組んでいきます。こうしたことを繰り返していくうちに、繰り返しご利用いただく顧客も増えていきました。実際に事業所の経営改善をサポートすると、オーナーから新規展開の開業支援をお願いされたという例もありました。
BPSをスタートして1年余りで、当初の予想を上回る200社以上からのご相談をいただきました。また今年度も60件以上の相談案件が寄せられています。まだ試験的な段階でのスタートでしたが、業界誌やテレビなどで取り上げられることもあり、問い合わせがすごく増えました。おかげさまで、新規事業として順調に推移していますが、顧客の事業規模に合わせたさまざまなサービスをいかに提供するかなど、まだまだ課題もあります。2025年には100億円の売り上げを目指しており、今後SOMPOケアの収益の柱に育てていくというのが重要なミッションの一つだと思っています。

収益の柱を目指して試行錯誤
介護業界はこれまで多くの企業が参入する一方で、経営が厳しくて撤退する企業も後を絶ちません。こうした状況の業界をSOMPOケア一社だけで全部支えていくのは到底不可能で、他社とも手を携え、ともに持続可能な介護サービスの提供を目指していく必要があります。介護業界全体に発展していこうという視点が常に求められるのです。そういったことからも、SOMPOケアがBPSを通して業界全体を変えていかなければいけないと私は思っています。
持続可能な介護業界を構築するためには、いまそこにある問題点を見つけるだけでなく、それを解決したらどのようなゴールが待っているのかを提示しなければなりません。顧客に対して、未来が見えるコンサルティングを行うことが重要だと考えています。そこを目指して、しばらくは試行錯誤の連続ですね。
